使用人の憂鬱





「ルーク?おーい、ルーク」

大きなお屋敷で監禁され続けているお坊ちゃまの子守役
もう何年目になるんだろう、なんて思いにふけながらその大きなお屋敷中、俺は主を探した

わがままで大人気ないあのどうしようもないお坊ちゃまを


「ガイ、ルークは見つかったのか?」
「それが、まだ・・・」
「早くしろ。先生がお待ちだ」
「承知してます」

誘拐されて戻ってきたのはいいがすべて忘れてしまったルーク
年齢が一番若い俺にそのお坊ちゃまの世話役があてがわれ渋々世話をしてきた
言葉を覚えなければ何にも始まらない、当主様は言葉を覚えなおさせるため先生を雇った
最初は調子がよかったが、だんだん難しくなってくる勉学についに俺のご主人は逃げることを覚えてしまった

白光騎士団に嫌われつつも屋敷内を探す
部屋に隅やタンスの中。庭の草陰
今まで隠れて見つかったところには絶対に隠れない。
こんなところはすぐに成長して学習してしまうので毎回嫌になってくる

「あとは・・・」

屋敷内はメイドたちも探してる。
中庭は白光騎士団の方々が我先にと探している
今日は天気がいい
きっとこの陽気のせいでどこかで寝てしまっているんだと思い太陽を見上げる

「・・・・まさか、な」

幼いといってももう歩けることは歩けるんだ
トイレだって一人でできるし、お風呂だって一人で入ろうとする
嫌な汗が流れ、俺は木々がおお茂る中庭のはずれに足を向ける







「・・・・・やっぱりな」

たどり着いた先に彼はいた
塀で囲まれた屋敷の一番端にある高い木の上
下から見え下ながら名前を呼ぶが反応がない
怖くて降りれないんじゃない、確実に寝ているんだ

ため息を零して袖をまくり木に登る
そういえば、俺も昔木に登っては姉上やヴァンに怒られたっけ、なんて思い出しながら登る

「・・・このクソガキ」

木の上で器用に身体を丸めすやすやと息を立てて眠いいている彼を見つけ少し、怒りがこみ上げてくる
おまえのせいでこんなところまで来ちまったじゃないか
また当主さまに怒られるのは俺なんだぞ
俺の家族を奪ったくせに

気持ちよさそうに寝ている彼の頬を思いっきりつまんでやりたたき起こす
突然の痛みに涙に目を浮かべて目を覚ました彼はつままれた頬をさすりながら上目遣いでこっちを見る

「うー・・・」
「勉強の時間だろ」
「キライっ」
「我儘言うな」
「キライ!」
「ルーク!」

嫌がる子供の手をつかみ引き寄せようとしたら、思わず反発され突き飛ばされる
バランスを崩し、俺は高い木の上から落とされた
落ちるとき、子供の表情がとても驚いていて手を伸ばしてくるんで俺はそれを思い切りはじいてやった

ドスン、と大きな音と共に背中から落ちた
生憎、地面は芝になっていて打ち身だけでなんとか済んだ

はずだった


「―――っ!?」

上を見るとはじいたはずの子供が手を伸ばしてこちらに向かってきた
――――俺の後を追いかけて落ちてきやがった!

「バカ!」

打った背中なんて気にせず手を伸ばし子供を捉える
子供といっても自分と同じ人間で自分より多少軽いだけ
子供の体重がのしかかり、支えきれずまた芝の上に鈍い衝撃音とともに倒れる


「っ・・・・ってぇ」
「ふぇぇ」

自分の上にいる子供は瞳に涙を浮かべ今にも泣きそうだった
泣くな、という意味で頭を軽く撫でてやると嬉しそうに微笑む
その笑顔をみて俺は一気に力が抜け意識を手放した

今日も1日疲れたからであって、痛みで意識を手放したわけではない


意識が消える途中、遠くのほうで子供を呼ぶ声がした








fin





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使用人の憂鬱、がテーマですねww
苦労人だから人を恨むことが出来ないんですかねー
甘い甘いw
2009:5:8
声を聞かせて



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