「――――いいですか、ガイラルディア・・・貴方は何が何でも生き延びなさい。ガルディオスの血を途絶えさせては…――――」

小さな肩を力強く抱きしめ震える声を隠しながら伝わる想い。
隠れろ、と暖炉に隠れ身を潜める。すると勢い欲扉が壊されキムラスカ兵が侵入してくる。

「無礼者!直ちに立ち去りなさい!」

凛と姉上の声が耳に響いた。
見つからないようにひっそりと姉上のほうを見る。

(姉上…っ)

既に回りには殺されたメイドたちが床に倒れていた。
怖い
だけれど、姉上を救わなければ
言いつけを破り今すぐにココから出て姉上を守らなければ

それが





ガルディオスの血を受け継ぐ者_______________








「―――――っ!」

薄暗い部屋
荒れた息を整えようと肩で息をする。
しばらくして落ち着きを取り戻し当たりを見渡す。
ここは貸し与えられた一室。
左方向にはペールが静かに寝息をたてている。

「……っそ」

体中冷や汗だらけで気分が悪い。
額の汗を袖で拭ってベットから降りて気分転換にと中庭にこっそりと足を進める。


途中、見張りの騎士に許可を貰い中庭に入る。
夜風が心地よく頬を撫でる。
空を見上げれば鈍く光布石が見える。
この空はどこで見ても同じなんだと実感させられる。

(最近、よく見るよな・・・・)

ホドが滅んで自分はペールに助けてもらった。
そして復讐を果たすべくペールに無理を言ってココに来た。
ココにきて、あの赤い子の世話係になって誘拐されたと思ったら記憶障害で何も覚えてなくて
急に復讐する気持ちが薄れ始めてきて

夢を見るようになった

(忘れるな・・・ってことだろうな)

具体的な内容は覚えていない
だけど、姉上が殺される瞬間だった
夢の内容も、現実も俺は酷いことに忘れてしまった
思い出そうとするけれど思い出せない。
無理に思い出せば体に負担がかかるということらしいから今までそっとしてきたが
罰が当たった気がした。

「がい・・・?」

誰かが呼ぶ声がしてふと、声のしたほうを見ると扉の隙間からそっとコチラを覗く人影があった。
ルークだった。
不安げに瞳を潤ませコチラを見る。
俺はため息を零し優しく微笑みゆっくりと距離を縮める。

「どうかしましたか?また怖い夢でも見ましたか?」
「・・・・」
「ルーク?」

珍しく何も言わないルークはぎゅっと扉を掴んだまま俯いてしまう。
どうした?と尋ねても何も答えない。
仕方が無いと優しく髪を撫でてやるとようやく顔を上げた。

「何かあったのか?」
「・・・がい」
「ん?」
「こわいゆめみた?」
「え?」

扉から手を離しルークは手を延ばす。
服をつかまれ懐に寄ってきたルークの発言に首を傾げつつもそっと抱きしめる。

「見たのか?怖い夢」
「ううん」
「?じゃぁ」
「がいがみた。こわいゆめ。がいないてる」

短い腕を首に回し必死にしがみ付くルーク。
俺はこの幼い子の発言につい目を見開く。

「何言ってんだよ、ルーク。俺は泣いてないぞ?」
「う?」
「『う?』じゃなくて…」
「ないちゃう?」
「だーかーらー」

ルークを離れさせ、いいか?と頭に手を乗せる

「ほら、泣いてないだろう?」
「・・・」
「どーしてそう不満そうな顔すんだよ…」
「でも」
「でもじゃない。俺は泣いていない」
「…うぅ」

納得いかないのかコチラを睨む。
盛大にため息を零しルークを抱きかかえルークの部屋へ

「ほら、お子様はもう寝る時間だろ?」
「やー!」
「我侭言うんじゃありません。ルーク様」
「・・・ばかがい」
「そんな言葉使うんじゃない」
「うぅー!」

抱きかかえられたルークはポカスカと俺の頭を叩き頬を膨らまし拗ねる。
大した力じゃないので痛みはほとんど無いが



涙を誤魔化すにはいい理由が出来たと思った。









______________________
ガイルクなんだけれど
ルークがあやされるのではなく、ガイがルークにあやされるのも悪くないだろうと
思いつつ。
不出来なものが出来てしまった・・・
姉上たちのことを忘れてしまって夢を見るようになったガイは罰が当たったんだと思い始める
それでルークが最近、ガイに元気が無いことに気づいたんだと思う。それで気になって眠れなくなていたら
ガイがいて声かけてみるとガイは違うと否定するからムキになって
ガイはガイで敵とかうんぬんではなく、子供に弱味を見せるわけにもいかず誤魔化すわけで
心の中ではきっと感謝しているはず。
大人になってルークがレプリカだとしってきっとそのときいい思い出だな、って話すのもいいんじゃないかと思いつつ
(某サイト様の絵に感化されたなんてことありませんわ/何が言いたい貴様ァ)
2006/07/26
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