「セネル、ハリエットを知らないか?」
「さっきジェイを連れてどこかに出かけたみたいだぞ?」
「ジェイと?」




シロツメクサ_______________



「あの・・・」
「何よ」
「・・・・ぃぇ」

キュッポたちから手紙を受け取り、指定された場所に行くと彼女がいて、
僕の腕をつかみここ、花畑まで連れられてきた。
そして彼女はずっと何かを探し、花畑を歩き回っている。

「ちょっと!ジェイ君も手伝いなさいよ!」
「…一体何を探してるんですか?」
「シロツメクサよ!」
「・・・それって『クローバー』のことですか?」
「違うの!シロツメクサ!花よ花!」
「・・・」

彼女はあっちに行ったり、こっちにいったり。
僕も渋々その場にしゃがみこみ、『シロツメクサ』を探す。

「大体、今の季節に咲いてるわけないじゃないですか・・・」

日差しが厳しい冬。
北風が冷たく、誰もが外出を拒む冬だ。
ただ、あと二、三ヶ月もしたら春に近づくだろう。

「ジェイくーん、見つかった?」
「・・・・見つかりませんよー」
「ちゃんと真剣に探してる!?」
「・・・・」

彼女はそういい続けながらも必死に『シロツメクサ』を探し続けた。
僕もとりあえずは周囲を見渡し、それらしきものを探すが、やはり『葉』はあっても花はない。
どうして彼女は『花』を探しているんだろう?

「ハリエットさん」
「何よ」
「どうして『花』を探しているんですか?」
「・・・・」
「もしかしてウィルさんの為ですか?」
「・・・・そうよ!悪い!?」
「(そんな逆切れされても・・・)」

彼女はその場に座り込み、じっと下を見つめる。
その中から一つ花を摘み、くるくると回しながら語りかける。

「パパの部屋にあった植物図鑑にこの花が載ってたの」
「・・・」
「シロツメクサは幸せを呼ぶ四葉のクローバーの花で春に咲く花だって」
「じゃぁ今探しても見つかるはずはありませんよ。今は春じゃないんですから」
「ジェイ君はシロツメクサの花言葉しってる?」
「さぁ?生憎花には興味がないので」

僕は肩を竦めて視線をそらす。
すると彼女は立ち上がり、僕の目の前まできて座り込んだ。

「シロツメクサの花言葉は『私を想ってください』なんだって」
「・・・・」
「・・・ハティは・・・その・・・恥かしがり屋だから・・・いっつも喧嘩になっちゃう」

彼女は今摘んだ花を僕に持たせ僕の手を包み込むように重ねる。

「だから・・!少しでもアイツと仲良くなりたいから・・・」
「・・・」
「ごめんね?こんなことに付き合わせて・・・でも、ジェイ君なら見つけてくれつと思ったから」
「僕が?」
「だってジェイ君って『情報屋』なんでしょう?」
「・・・・」

だからって見つかるはずはないでしょう?
僕は心の中でぼやいた。決して声にしないように

「仕方がありませんね」
「え?」
「手伝いますよ。見つけて早く戻りましょう」
「・・・うん!」



かくして僕らは『シロツメクサ』を探し続けた


















「あ」
「見つかった?!」
「・・・・・」
「あ、あったぁ!!さすがジェイくんっ!!」
「ちょっ、くっ付かないでくださいっ」
「もう、何照れてんのよ」
「あのですねぇ・・・」
「ほらぁ!花は見つかったんだし、帰るわよ!」
「・・・」
「ジェイくんっ!」
「・・・わかりましたよ」
「あ、それから」
「?」
「・・・・・・ありがとね」
「・・・・どういたしまして」





オワリ☆








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ハ テ ィ ジ ェ イ で す か
再びお題の「華」を書こうとチャレンジしましたが、
「華」が「花」になりました。
書いてる途中でいい加減「華」を書き上げたくて辞書引っ張りましたところ
「今が人生の華だ」とか「華の都」とか
「うわべだけで真実味がないこと。あだあだしくはかないこと」だそうです。
ちょっとイメージが違いました(笑えね)
次こそ「華」で完成させたいですなぁ
2005*12*05






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