_______________________________臆病者の二人の結末












「いい加減にしてくれ…!ジェイド」

つかまれていた腕を振りほどこうと声を張り上げ腕を振るう。
ジェイドは顔色一つ変えずにガイの腕から手を離す。
ガイは息を呑み、ジェイドを睨む

「どういうつもりだ…冗談にしては」
「冗談ではありません」
「なおさら悪い!」

また声を張り上げる。
息が少し上がってきたのか肩で息をしつつ呼吸を取り戻そうと荒く息を吐く。
ジェイドはやっぱり諸共せずに眼鏡を指で押し上げかけ直す。

「私が嫌いですか?ガイ」
「そういう質問はするな・・・」
「何故?」
「……答えづらい」
「何故?好きか嫌いか、二つに一つですよ?」

肩をすくめ冗談でも言ってるかのように軽く発言する。
ジェイドにとっては簡単なのかもしれない、冗談で済むような話なのかも知れない。
だが、少なくともガイは違う。

「……っ」

何かを言おうと口をあけるが躊躇い、口を閉じてしまう。
先ほどからそれの繰り返し。口を閉じれば罰の悪そうな表情でジェイドを見る。
何度かそれを繰り返し、大きなため息をついてガイは口を開き言葉を発した。

「俺はお前が嫌いだ」
「そうですか」
「だから…もう」
「『俺に関わるな』ですか?それとも『俺に近づくな』?」

ガイが必死で導き出した答えを軽くあしらい何かを誤魔化すように微笑むジェイド。
ジェイドは小さく笑みを零し「分かりました」と一言告げてガイから離れていく。
ガイは離れていくジェイドの背中をずっと見ていた。
何か言葉を掛けるべきだろうかなどとまだ甘っちょろいことを考えている自分に虫唾が走る。
結局、いい言葉が見つからずガイはジェイドの後を追いかけ腕を掴む。
まったく、お人良いにも程がある。

「何か?」

振り返らずジェイドは冷たく言い放つ。
表情が見えなくても声からしで大体の感情は読める自信はあるガイだが、ジェイドにはそれがきかない。
この軍人は平気で笑顔で嘘もつけるし、きっと笑顔で人も殺せる。
心の中は絶対に見せてはくれない。

「誰も近づくな、とも関わるなとも言ってない」
「それで?」
「…お前、今どんな顔でそんなこと言ってるんだが分かってるか?」

腕を引き寄せ無理やり自分のほうを向かせた。
涙は流してはいなかったもののいつもとは全く違う暗い表情。
隠そうとしても隠し切れていない本音が見えた、と思った。

「生憎…自分で自分の顔は見れませんから」
「なら俺が教えてやるよ」

そのまま勢いでジェイドを引き寄せ首に腕を回し強く抱きしめる。
本当ならもうこういうことはしないと決めたはずなんだが、どうもそういうわけには行かないらしい。
好きだ好きだと引き寄せ、失うことを恐れる二人。
だから恐れる前に、好きになる前にガイ自ら離れて行こうと決めた。
しかし、人間は感情の前には一生勝てないのかもしれない。
勘違いでもなく焦りでもなく、ただ『いとおしい』とそう思い込んでしまった自分を呪う。

「……ガイ?」
「冗談はこっちのほうだったな…すまん」
「……」

力強く精一杯抱きしめる。
肩に顔をうずめるとジェイドの髪から微かに香る香水の香り。
それがまた愛おしくて、苦しくて、離れなれない。
ジェイドは小さく声を漏らし微笑む。

「そんな分かっていましたよ。貴方が私を見捨てるなんて出来ませんからね」
「それはお互い様だろ…」
「そうですね・・・」

ジェイドもゆっくりとガイの背中に腕を回し優しく抱きしめ返した。

















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ジェイガイのつもりで書いた夢説です(でもガイジェイだよねコレ)
最近マジで雑食です。
ジェイガイ、ピオガイ、ガイジェイ、ピオジェイ…
珍しく主人公が絡んでないってのも夢説にとっては驚きですよ。
あ、でも本命はジェイルクかな?
ガイルクでもいいけどさ。とりあえずルー君総受けは間違いなし。
・・・・スランプ抜け出せそうかな・・?
2006*03*28
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