[    消えたら許さない   ]











「風邪?あのルークがか?」

レムの塔で瘴気をなんとか中和し、とりあえず母上の様子を見にバチカルへ戻ってきた次の日の朝。
本当ならもうユリアシティに向かっているはずだった。

「『あの』は余計だ…ッ」
「で?熱とかあるのか?咳は?喉辛くないのか?」
「とりあえずは…」

笑って誤魔化すルークだが、やはり辛そうだ。
そこへティアたちから預かった薬を持ってジェイドが部屋に戻ってきた。
ガイの視線に気づいたジェイドは小さくため息を零してベッドに近づく。

「ただの風邪ですよ。貴方が気にするほどではありません」
「…」
「ほら、薬を持ってきましたからコレでも飲んでゆっくりと休んでいてくださいね」
「あぅ…」

重たそうに上半身を起こしジェイドから薬を受け取り、近くの台に置いてあったコップを取る。
息を呑み錠剤を口に放り込む。そして一気に水を流しみ、薬を飲み干す。

「うげぇ…」
「我慢しなさい」

ルークが呻き声をあげつつ、コップをジェイドに渡す。
コップを受け取ったジェイドはルークの頭を撫で、横に寝かせる。

「ガイ、すみませんがティアたちのところに行っておかゆを貰ってきてください」
「ん。わかった」

ガイはルークを気にしながらもゆっくりと静に部屋を出て行った。
キッチンの方からはアニスの叫び声が響く。



****

ガイが居なくなった部屋。
ルークは布団から顔を出し隣のベットに腰掛けているジェイドのほうを見る。

「なぁ、ジェイド」
「なんですか?」

そして少し迷ってから声を出す。

「俺…本当は風邪じゃないんだろう?」
「……」
「体中熱いけどさ…風邪じゃないんだろう?」
「…寝てなさい、ルーク」

パタンと本を閉じてジェイドは大きくため息を吐く。
ルークは腕で視界を覆い光を遮る。そして独り言のように呟く。

「……俺、消えちゃうのかなぁ…」

ベルケントでの診察の結果――――音素の乖離現象。
レムの塔で瘴気を浄化しようと無理をしてしまったからだ。


自分はもうすぐ  大切な人を残して消える



「そんなこと許しませんよ」
「へ?」

隣に居たはずのジェイドが自分のベットの方に移動していた。
それどころかルークのすぐ近くに腰かけ、両腕を逃げられないようにと固定させ、
自分の真上にジェイドの顔があった。
間の抜けた声を発してしまったルークの隙をつき、唇を奪うように塞ぐ。

「んぅっ!?」

舌が口内に侵入し唾液と絡めていやらしい音を発しながら舌を絡め取られる。
元々体が火照っていたのに息苦しさと唾液の音で一層に身体に熱が篭る。
しばらくして舌から開放され、二人の間に銀色の糸が伸びる。
荒れた息を整えようと深呼吸をする。途中で上から声が響いた。

「…勝手に消えたら私は貴方を一生許しません。いいですね」

いつもとは違う低い声。
その声だけでどうにかなってしまいそうな勢いだった。
一人勝手にドキドキしているのが恥ずかしくなってくる。

「っ…」
「返事」
「……でも」


自分は必ず消えてしまう。それはもう変えようがない事実であり運命なのだ
「消えるな」という約束は出来ない。
ましてやジェイドに嘘をついてでも―――

「返事」

返事を催促され、あの赤い瞳に睨まれる。
思考の途中だったがもうそれは言わざる得ない状況だった。

「…はぃ…」

返事をした途端、自分はなんて愚かなミスを、と。
これではもう本当に消えることは出来ない。
冷や汗をかきながら布団を頭まで被りジェイドから視線を逸らす。

「よろしい」

隠れきれて居なかった頭部を優しく撫でられゆっくりと視線をジェイドに戻す。
赤い瞳が先ほどと違って優しく、見惚れてしまったルーク。


額に優しくキスを落とされ、また布団に隠れてしまうのであった。







fin





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[恋人同士でお題]の一つです。
拍手のお題探していたのですけど
予想以上に書きやすそうな御代見つけたので書いて見ました。
ジェイルクー!
多分ジェイルク!(ヲイ)
ホントはガイ様と三角にしたかったけど落ちがち来そうにないので
ジェイルクで止めましたです。
ちなみに↓




ガイ「ジェイド、おかゆ持ってきた―――」
ルーク「ギャー!ジェイド!待って待って!!」←襲われ中。半分・服脱がされてる
ジェイド「さぁさぁ無駄な抵抗はやめて大人しくしなさい」
↑絶対ガイが戻ってくるのわかっててやってるので楽しそう。
ガイ「お前ら何やってんだよ!!;」←おかゆを落とさないようにカレイに突っ込み。ルークの救助へ向かう。


こんなの希望でした(笑)



2006*01*28

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