生きることを諦めたたわけじゃない

でも

それしか道はないんだろう?







最近、深夜にこっそりとガイが部屋を抜け出すことがある。
一度だけ気になり、こっそり後をつけていったらキッチンで夜食を作っていた。
そんなに腹がへったのかな?なんて思った矢先、ガイはアイツの部屋へ向かった。
それの後をどうしても追いかけられなくて深夜の廊下で静かに泣いた

それ以来、静かにしている。
ガイが部屋を出て行った理由を知って俺はごめんなさいと何度も心の中で謝った。
どんなに俺が口に出して二人を止めても二人はきっとやめてくれない
俺を生かすためにやっていることだからとか仕方ないとか心に言い聞かせて何度も静かにすごし続けた。

久々に一人部屋が与えられて、その日は偶然いい天気で星や月が綺麗に見えてちょっと感動を覚えた。
もうすぐこれも見れなくなるんだ、なんて感傷に浸りながら真っ黒な空を見上げていると控えめなノックが聞こえた。

「はい?」
「私です。ちょっとお邪魔させてもらってもいいですか?」

ジェイドの声を聞いて少しだけ罪悪感を覚えたけど、顔を振って必死にそれを隠していつもどおりを振舞ってドアを開けて出迎えた。
出迎えたジェイドは優しく笑ってくれて抱きしめてくれたけど、抱き返したとき少しだけ体が細くなったんじゃないかとまた罪悪感に襲われる

「すみませんねぇ。ちょっとだけ充電させてください」
「めっずらしいなぁ。ジェイドがそんなこと言うなんて」
「めっずらしいですよねぇ。私もそう思いますよ」

抱きしめられた腕に力がこもり強く抱きしめられる。
まるで消えるなといっているようにしっかりと俺を捕まえてくれる
言葉では聞こえないジェイドの本音に少しだけ涙が出そうになったけどまた必死にこらえて笑った

「いっつもこんな調子だったら扱いやすいんだけどな」
「…」
「…ジェイド?」

冷やかしのつもりで発した言葉に対して返答が来ず、逆にさらに抱きしめられた。
少しだけ苦しく思ったが、それでもどこかジェイドの様子が違っていて俺も戸惑ってしまう。

「…私は、あなたをこの世に生んでしまった元凶です」
「俺は生まれて嬉しかったぜ。短い間だけど」
「人は、人の生はそんなに短くありません」
「でも短命って人もいるんだろう?十分だよ」
「…満足、しないでください…ッ」
「ジェイ」
「もっと欲張っていいんです。だから一言だけ聞かせてください」

ようやくジェイドの腕から開放されて二人の間に少しだけ距離が開く。
ジェイドの顔を見つめると少しやつれたようにも見えて直視できずすぐに視線をはずしてしまう。

「生きたいと、あなたの言葉で聞かせてください」
「…でも」
「そうすればどんなことでもしますから」
「ジェイド」
「ルーク、私は」

あなたと生きてみたいんです
小さく聞こえたジェイドの本音が幻のように思えて一瞬目を丸くするが、伸ばされた手が若干震えながら俺の腕を捕まえ、離してくれない
そんなに俺のことを思っていてくれたんだ、それだがすごく嬉しくてけれど、どうしても無理なことだと頭で勝手に理解して目を伏せた

「…ジェイド、俺は満足だよ」
「あなたが満足でも私は」
「あのときに俺が作られてなかったら俺はここにいることができなかった。だからジェイドにも出会えなかった」

だから、本当に満足なんだ
一生懸命笑顔を作って微笑みかけて捕まれた腕に手を重ね大丈夫と何度も軽く手を叩く
な?と同意を求めてまた笑うとジェイドは表情をゆがめて腕を振り払ってきた

「私の、意志は無視ですか?ルーク」
「…ごめん」
「どうして、たった一言を…」
「これ以上、お前に無理してほしくないんだ」

俺のせいでいったい何日寝てないんだ?
俺のせいでアニス怒らせて
俺のせいでティアに心配掛けて
俺のせいでナタリアを不安がらせて
俺のせいで
俺のせいで

「だからごめん」

もう俺のせいは嫌なんだ
ごめん、とまた謝ったらジェイドは何も言わずに部屋を出て行ってしまった。
静かに閉じられたドアを俺はしばらく見つめていた

俺には1つになるしか方法は残されてない
1つになってたとえ記憶のほとんどが消えようと、きっと俺の記憶がオリジナルに残るはずだから
だからごめん

もう一度、今度はオリジナルの俺を好きになってください、なんていえっこなかったな








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あれ、終わんなかったwww
次はガイがらみ!
2009*09*08

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