いつもの日常。
学校にいって授業中に眠って教師に起こされて後ろの席のやつを逆恨みしつつ、昼食は一緒に取る。
最初はコイツが気味が悪くて気にしないようにしてた。
それが何試合か終えてアイツの存在が大きくなって気になりはじめた。
気になり始めてからは意識はなんだかんだであいつに向かって
気づけばいつも一緒にいるのが当たり前だった。
自分より小さな体と手。
負けず嫌いで影が薄くてバスケが好きで
人のこといつも小馬鹿ににするくせに、だけど
もう、自覚したときには手遅れだと顔がにやけた。

俺は黒子が好きだ




「今日、お邪魔してもいいですか?」

部活帰りにいつものバーガーショップに行こうかと話していたとき。
なんの表情も変えずにそいつは尋ねてきた。
あまりにも表情を変えないので俺も負けじとそっけなく返事をした。

(まぁ、コイツのことだから深い意味はない)

俺が自覚したのはついこの間。
部活が終わってみんなで更衣室にいたときだ。
相変わらず影が薄くて最初は隣で着替えてるのに気づかなかったが、ふとした何かの――たぶん誰かの視線だ――おかげで黒子の存在に気づけてこっそり視線をやると首元から腕にかけてがやけに白く見えて、しかも細くて筋肉なんてついてねぇんじゃねぇかって思えて――見てるのがばれて視線がぶつかった。

「……火神くん?」
「え、あ、なんでもねぇよ…ッ!」

あれ以来、黒子の着替えを直視できない。
もともと同性同士とかには偏見はなかったが自分自身がそういうことになるとは思ってもみなくて戸惑ったことは戸惑った。
だが一度認めてしまえばもうこれ以上に楽なことはなかった。

黒子と一緒にバスケをする、黒子と一緒にメシを食う。
黒子と一緒に寄り道をする、黒子と他愛無い会話をする
共通点なんてバスケしかなかったが、それだけで楽しかった。
今の俺はそれだけで満足できてはいた
それに俺の家にきてすることといえば、俺が飯を作ってそれを二人で食べて、日によっては録画してあったバスケの試合を見たり、たまたまつけたらやっていたお笑い番組をみたり、バスケの雑誌を読みまわしたり、疲れたら風呂に入って泊まっていくだけ。
黒子の気分では風呂の前に帰ることあるけど――――ようは友達の範囲内のことしかしていない。
だから今日もそうなんだと、そうなんだと思っていた。





「お風呂、ありがとうございました」
「ん」

今日は飯を食ってテレビ見て雑誌を回し読みして風呂に入った。
最初は風呂を貸すときにも衝突した。客人なんだから先に入れっていってんのに家主より先には入れませんとかなんとか。今思えばどっちでもいいって思えて少しおかしくなる。
結局が俺が先に入って黒子が後に入るという決まりになってしまった。
俺はほとんど乾いた髪からタオルを肩にかけなおして冷蔵庫からもってきた麦茶を飲み干す。

「なんか飲むか?」
「じゃぁ僕にもお茶を」

新しいグラスをひとつ取り出して麦茶を注ぐ。ひとつは注いですぐに口に運びもうひとつは黒子へと渡す
受け取った黒子はソファに座りながら麦茶を飲む。
白い首元がごくりと動くのが妙に色気があって俺はバレないように視線をはずす。
風呂上りの黒子は実は苦手…というより危険だった。
いつも突然くるもんだから俺の服を貸すからサイズはブカブカだし、ハーフパンツをはいてるはずなのに俺のTシャツがでかいせいでそれがほぼ見えないため、上しか着てないように見える。ぬれた髪はタオルで覆われているがよく拭いていないのかポタポタと水滴が滴る。それが妙に色っぽくて現状に満足はしてるとはいえ変な気が起きないという自信はなかった。
でもまぁ寝る場所は別々にしているし、黒子にさえばれなければ後々どうにでも処理はできていた。

「……火神くん」
「あ?」
「こっちこないんですか?」
「あー…いく」

いつまでも台所にいるのを怪しまれ渋々黒子の正面に座る。グラスを目の前のテーブルにおいて床に散らばっていた雑誌を手に取り意味もなくパラパラとめくり出す。
正直目のやり場に困る。隣に座るわけにもいかないしこの正面ってのも意外とやばい。けど離れて座ったら怪しまれるだろうと思ってワザと正面に座って雑誌に目を落とす。

「僕の隣、空いてますよ?」
「……だからなんだよ」
「隣座りませんか?」
「なんでだよ、いくらお前が小さいからといっても2人は狭いだろ」
「それもそうですね、じゃぁ―――」

空になったグラスをテーブルにおいてから黒子はテーブルをまたいで俺の隣に座ってきた。
しかもこの距離は友達の距離じゃない…気がするほど近い。
膝の上に手を添えられ必死で平常心を保つ

「……なんだよ」
「……火神くんってヘタレですか?それとも奥手なんですか?」
「はぁ!?意味わか―――ッ」

意味わかんねぇよ!と叫んで距離を置こうとした。離れないと俺がいろいろやばい気持ちになってとまらなくなるからだ、なのに黒子ときたらそんな俺の気持ちを無視するようにさらに距離を縮めてきた。

「誘ってるんです。火神くんって僕のこと好きですよね?」
「……それ、誘ってんのかよ…」
「えぇまぁ」

もうキスができてしまうぐらいの距離でそんな言葉を言われて俺は一気に脱力した。
さすがに男相手が初めてだったから多少緊張もしてるし女とちがってどんな口説き文句を言えばいいかなんてわかんなかったし、何より…それ以上の関係を黒子に強要するつもりもなかったわけで…
日本語でいう棚から牡丹餅ってこういうことなんだろうか

「お前なぁ…誘うって言うのは―――」

腕を回して唇を重ねて、割らせて舌を絡ませる。腕を回した肩が一瞬こわばったのが分かったがそれも受け止めるように強く抱き寄せて深く口付けた。
途中でもれるアイツの喘ぎ声が予想していたものより下半身に来て俺は夢中で食らい続ける。
しばらくして胸を押し返されたが全然力が入っておらず気にせず角度を変えて何度も貪った。

「ちょッ…も、う、火神くん…っ!」
「んー?」

仕方ないと名残惜しいが唇を離すと耳と顔をを真っ赤にしながら深呼吸をしはじめた。
少しだけ涙で潤んだ瞳で睨まれたがそんなのはもう劣情を煽るだけだった。

「誘うっていうのはこうすんだよ、バカ」

やべぇ、とまんねぇ
手首をつかみ掴んだところにキスを落として挑発をする。
するとまた一段階顔を赤くしてきつく睨んできたが瞼に優しくキスを落とすと小さな声が聞こえた
―――やりすぎ、です…ッ
聞こえた声に俺はにやけが止まらなくてそのまま胸に引き寄せて抱きしめた。












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初の火黒ですw
調子乗りました
でも火黒大好きです!
2012*08*18








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