「お前が好きだ」
「・・・」

部活が終わっての更衣室での出来事。
先輩や監督たちは用があるからとそそくさと着替えてそそくさと帰っていった。
残された俺と黒子は特に用もなかったのでいつもどおりのペースで着替えていたため置いてかれた。これはいいチャンスかもしれない。
―――俺は黒子が好きだ。それに気づいたのは少し前のこと。
最初は相棒として、と信じたかった。相棒として青峰に黒子を取られるのが嫌だった。お前が切り捨てたくせに、今は俺が相棒なんだ、だからもう黒子に近づくな。自分の中で強い独占欲が生まれたことに気づいてどうしてかと悩んで気づいたとき、俺は黒子の全部が欲しいんだってわかった。
抱きしめて口付けて、正真正銘すべてが欲しくて欲しくてたまらなかった。
いつ、それを伝えようかと目論んでいたところに2人っきりの機会。俺は躊躇わず、黒子に向き直り告白をする。

「・・・・・ありがとうございます」
「それだけ?!」

顔色ひとつ変えずに着替えを済ませた黒子にさすがの俺も戸惑いを隠せなくなる。
日本では同性同士というものがあまり受け入れられてないらしい、いくら黒子でも俺がどういう意味で告白したのかは分かってるはずだ。
だからこそ言葉を迷ったに違いないと信じたいってのが本心だけど。
言葉に迷っているのか黒子は俯いたまま何も言わなくなってしまった。

コイツにとって俺は光だ。
光があるからこそ影が生きる
それがコイツのバスケの在り方であり、大好きなバスケを続けられる可能性なんだ
だからこそ、言葉を迷ってるに違いない。

「期待してたわけじゃねぇが……悪ぃ迷惑だったな」
「・・・迷惑では、ないのですが…」

顎に手を沿え言葉を捜しているらしい。
迷惑ではないということはどういうことなんだろう?と俺も思考を巡らせては見るがよくわからず、黒子の表情を伺うが明らかに迷惑そうな顔をしている、気がしてきた。

「・・・どう、返したらいいかが分かりません」

待ちに待って出た答えがそれだった。
きょとんといつものあの瞳でこちらを見てくる。
嘘をついているようには思えない。だからこそ、本当にどうしたらいいか分からなかったんだろうな。
俺は肩の力を抜くようにため息をこぼす。

「なら、好きにさせてやる。諦めなくてもいいってことだろう?」
「・・・そういうことなんですかね?」
「嫌になったらすぐに言えよ。俺、加減とかできねぇから」
「え」

黒子の返事を待たずに引き寄せ、ロッカーに押し付けて顎を持ち上げてそのまま唇を重ねる。
一瞬で体が強張るのが分かり、頬に手を添えて今度は唇の隙間を割いて舌を絡めだす。

「んぅ…ッ!」

離せ、といわんばかりの力で腕を捕まれてたが次第に指先から力が抜けていくのが分かった。
途中、何度か唇を離して角度を変えてまた重ねていく。何度か角度を変えると黒子の肩から力が抜けていくのが分かってずり落ちないように足の隙間に足をしのばせる。膝が気持ちい所にあたるのか、背中に力を入れなおして踏ん張っていた。
そんな黒子に唇が離れた一瞬で「いいか?」と囁いた――――――

すると、わき腹に強い衝撃が襲った。しかも正面からだ

「ぐほぉっ!」

突然のことで俺は黒子から離れて衝撃が走ったわき腹を抱え込むようにその場にしゃがみこむ。
状況を確認すべく視線を上にやると、明らかに殴った―――いや、あの構えは加速するパスの構えだ―――黒子が乱れた呼吸を整えつつ鋭い眼光でこちらを睨んでいた。

「黒子、テメェ…ッ!」
「嫌になったら言えっていったのは火神君ですよね?口ふさがれていて言えなかったので態度で示させて頂きました」

かわいくねぇ!「いただきました」じゃねぇ!
こっちも黒子のおかげで呼吸が乱れたので戻していく。
お互い、頭に上った血が下がったところで冷静に考える。
黒子のこの一撃は嫌だったから繰り出されたわけで、つまりは―――
その先はまだ考えたくねぇ、自己完結はしたくねぇ。思考をとめ俺は直接黒子に尋ねる。

「…嫌だったのか?」
「……呼吸ができません」
「あ?」

予想外の答えで黒子のほうをみるとまだ少し怒っているように見えた。

「初めてだったんです。だから呼吸の仕方とか…というよりいきなり口ふさがれた誰でも驚きます」
「・・・・嫌じゃなかったんだな?てゆーか初めて!?」
「えぇ、ですから」

しゃがみ込んで俺に視線を合わせて頬に手を添えられる。
少しひんやりとした黒子の手のひら。
あぁやばい、やばい。この距離はまた抑えられそうにない。

「きちんと手順を踏んで教えていただけると助かるのですが…できそうですか?」

やわらかく微笑まれて、お前そんな顔できたのかよ!てゆーかやばい、思考がショートする。
ただ目の前の黒子が欲しくて我慢なんてできなくて添えられた手をつかみ抱き寄せようとした瞬間、空いていた手で顔面パンチを受けることになり俺は冷静を取り戻してから頭を下げる。

「抱きしめてもイイデスカ?」
「手加減をしてくれるのなら」

一息置いてから手を伸ばし、そっと大事に胸に引き寄せた。胸の中にすっぽりと納まった黒子は緊張していてそれがこっちにまで伝わってきて俺も緊張してくる。
なんだか顔も熱くなってくるし心拍あがってくるし、俺手加減なんてできる自身がない。
このあとどうしたもんかと迷っていると服のすそが下に引っ張られた様な気がして視線をやると、黒子につかまれていた。
あぁもう、なんだこの可愛い生き物は
我慢ができず力いっぱい抱きしめたら苦しいと髪の毛を思いっきり引っ張られた














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やっちゃった!
またやっちゃった!
タイトルは「君がいたから強くなれた」です
テツくんは火神君がいたから(襲われるのを防ぐため)強くなれたと思います
そんな話ですw
でも正直な話、身近な人の影響力って相当だよね
2012*08*19








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