神子に生まれてきたことに後悔はない
もっと生きたいとか
もっと一緒にいたいとか
思うことは沢山あるけれど

私のたった小さな命一つで誰かが救えるのなら

それも悪くないと本気で思っているから




儀式が始まり、私の意識はどこか遠くへ飛んでしまった
とんだ先は星がキラキラと瞬いてて上も下も右左も関係ない
そんなような空間だった
そこに一人の女性がいて私のほうをみて悲しげに瞳を震わせていた

「こんなこと望んでいなかったのに」

声にならない声は私の心に響いて
意識がまた飛んでしまった


「――――ット!コレット!」
「・・・・・ロイ、ド?」
「っー・・・よかった・・・本当に、よかったぁ・・・」

目が覚めると同時に身体が重く感じで私はロイドの腕の中にいた
あたりには仲間がいてロイドと同じように安堵のため息をこぼしていた
けれど、その中には彼はいなかった


「ロイド・・・ゼロスは?」
「・・・・」
「ロイド?」
「ゼロスは死んだ」

みんなから離れたところにクラトスがいて
私は重たい体を上半身だけお越し、クラトスを見つめる

「ゼロスは死んだ」

もう一度だけ、そうつぶやいてみんな俯いてしまう。
ロイドなんか悔しそうに唇をかみ締めて必死に泣くのをこらえてるように見えた

「・・・本当?」
「俺が、殺した」
「でも!ゼロスがいけないんじゃん!裏切るから・・!」
「アイツを救ってやれなかった俺のせいだ!俺の・・・」

重い沈黙
それだけなのに私は納得してしまう
目を伏せ小さく「そっか」とつぶやいて笑顔で顔を上げる

「ゼロス、笑ってた?」
「え・・・?」
「最後に笑ってた?」
「・・・・あぁ」
「何かいってた?」
「・・・・ありがとうって」

救ってくれてありがとう、と
ゼロスは死んでいったと

「そっか」
「そっかって、アンタね・・!」
「ゼロスはね、みんなと行きたかったと思うよ」

ここからは私の考えと前置きをおいて静かに話し始める

ロイドのことも大好きだったし
しいなことも好きだったと思う
でも、ゼロスは救われたかったんだ
神子を恨んでたんだもん
だから神子からどうしても開放されたかったんだよ

「違う!あいつは・・!」
「私も考えるんだ」
「・・・コレット?」
「神子じゃなければよかったのにって」

でも考えて仕方ないでしょ?
諦めてるわけじゃない
神子という使命が私には嬉しくて
自分の大切な人を救えるのなら私の命なんてって思ってたんだもん

「そんなの間違ってる!」
「そうだね。でも、ゼロスもそう、思っていたはずだよ?」

だからロイドに殺して欲しかったんだよ


「・・・・っ」
「わがままだよね?ごめん」
「ごめんで済むか!」
「でも助けたかったんだ」
「ほかにも方法があるだろうがッ」
「これが、自分が死ぬことが一番いい方法だと思っちゃうんだもん」
「相談しろよ!もっと頼れよ!仲間だろ!」
「仲間だから、好きだから。殺して欲しかったんだよ」
「っ・・・バカヤロウ・・・!」

堪えていた涙があふれてきて私はそれを隠すようにロイドにしがみついた
しがみついてやさしく抱きしめて
なんどもごめんね?と謝った


「ロイド、ありがとう」

なんだか私も涙があふれてきそうだよ







fin








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まぁクラトスルートで完全に救われない話ですからね!←
仕方ない仕方ないww
後半のほうからコレットがゼロスの代弁になってます
神子同士通じ合うものもあり、理解できないこともあり
ようは救われたかったの一言ですよね
かなしー!
2009:04:14
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