「いくな!コレット!」

伸ばされた手は届かないまま彼女は姿を消した

「残念でした〜。おしかったねぇ、ロイドくん」
「・・・どういうつもりだ、ゼロス!」
「見たまんまだって。ユグドラシル様が俺さまの願い事かなえてくれるちゅーから・・・」
「ふざけるんじゃないよ!このアホ神子っ」

ピーピーギャーギャーうるせぇなぁ
小言をひとつこぼしてマナを体内に集中させる
ようやくこの状況が飲み込めたのか、それとも反射的になのか彼らは武器を取り出し構える

「エアースラスト!」

風の牙がロイドを襲う
バックステップをしてかわしたもののすべてをよけたわけではなく、左足から血が流れる

「コレットちゃんを助けたかっらた俺を殺せよ、ロイド」
「・・・・出来るかっ!」
「ならここまでだぜ?」

いつまでも甘い奴、なんて頭の片隅で聞こえた声を押さえ込んでマナを一気に膨らませる
そうすると、今まで隠してきたあの羽が姿を現して誰もが絶句した

「―――プリントプロテクト!」

白い何かが彼らを守り、ようやく大人どもは割り切ったのか戦闘に入る
攻撃をかわしつつ俺はマナを増幅させて一気に爆発させる

「輝く御名の許地を這う穢れし魂に裁きの光を雨と降らせん―――」
「やめろ!ゼロスッ」

声は届いたのに
届いていたのに
それを振り払ったのは自分だ

「――――安息に眠れ、罪深きものよ!ジャッジメントッ」

無数の白い光が天から降り落ちる
最後の光が地に落ちたと同時に大きな爆発。
砂埃で視野が狭まるがたった一人だけたっていた
わざと攻撃をはずしたアイツだけが

「・・・・どうしてこんな・・・!」
「おまえにはわかんねぇよ」
「なんで話してくれなかったんだよ!」
「・・・お前と」

出会わなければよかったのに
小さくぼやいた言葉をすぐに飲み込んで
剣を抜き突撃する
小さな少女が斧で押さえるが絶えてるのがやっとというところ

「ロイド、戦えないのなら下がりなさい!」
「なんで戦わなきゃいけないんだよ!」
「コレットを助けるんでしょう!」
「・・・っ」

そうそう、彼女を救うんだろ?
だったら俺にかまうな
言葉には出せなかった
ここまできてこんなこともいえないのかと自分で自分がおかしくなる

「早くしないと手遅れになるぜ?愛しい愛しいロイドくん」

自分は一体どんな顔で言葉を発したのだろ
もうどうでもよくなったんだ

夕べ、いつものように情報を流していたときに見てしまった二人
ロイドとクラトス
それを見つけてしまった自分を呪った
選ばれなかったことに
何も話せなかった自分に

彼を、いとおしいと思ってしまった自分に


「―――っとに、いやになるよなぁ・・・なぁ、ロイドくん?」
「―――っ!」

少女を振り切り、距離をとる。そしてまた詠唱をはじめた

「今度は、はずしてやんねぇからな」
「馬鹿野郎・・・ッ!」

ようやく双剣を抜き俺へと突進してくる
間合いは十分に取った
俺の知っているアイツなら間に合わない。
そう思って安心して詠唱を続けていた
それなのに、アイツは俺の計算の上を行き俺に追いついた
いや、これが計算だったのかもしれない

アイツの剣が胸に突き刺さり穴の開いた胸からどす黒いものが流れ落ち床を汚していく
突き刺した本人は刺されてもいないのに苦しげな表情だった

「なんて、顔してるんだよ・・・」
「・・・っ馬鹿野郎が・・・!」


自らロイドを突き放し、また距離をとる
背中に生えた天使の羽のおかげでまだ動ける

「もういいだろ!戦うなよッ」

泣きそうな声で叫ぶ
その声が本当に苦しくて切なくて
涙がつられそうになるが、この涙はきっと痛みからくるものだ

「・・・・俺さまの本気、見せてやるよ・・・・!」


正真正銘、これが最後の力
マナを集中させこれでもかってぐらいマナをかき集める
ロイドの後ろから逃げろなんて声が聞こえるが、でもアイツは
ロイドはきっと逃げない
それどこか剣を捨て俺に向かって走ってくる


「―――・・・くらいな!」

あぁ、おまえにも分かるのか


術が発動する前にロイドに抱きしめられ防がれた
防がれたというよりも、俺自身、もうそんな体力が残っていないみたいだ


「・・・・ごめんな、ロイドくん」
「謝るぐらいならこんことさせんな!」
「だよねぇ・・・」
「馬鹿野郎・・・ッ本当に、おまえは・・・!」
「俺のエクスフィア、ちゃぁんと破壊していけよ」

重たい腕を何とか動かしてロイドの髪に触れる
こんなにも暖かくてやわらかい
居心地がよすぎだ

「ありがとうな、救ってくれて・・・・」


最後は俺サマらしく、笑顔で別れを告げた





fin




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ロイゼロバージョンです!ww
戦闘シーンはやっぱ好きだけどむつかしい
がんばろう
2009:4:16
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