たった一つのものだから手を伸ばして死んでも手に入れたかった。
01
「あれ?ゼロスは?」
「まぁた外行ってるんじゃない?」
コレットが部屋を見渡すとあの紅い髪の青年の姿が見あたらない。
彼がいないのはよくあることなのでジーニアスはあまり深く気にはかけていなかった。
「ロイド、ゼロス知らない?」
最近、ゼロスとロイドの仲がいいのはみんなが知っている。
だからコレットは聞いた。でもロイドも「そのうち帰ってくる」といい、自分の剣の手入れにはいる。
「・・・ロイドがそういうなら・・」
仲のいいロイドがいうのだから、本当に大丈夫なんだろうと思った。
でも、コレットの中にあるわだかまりは消えることはなかった。
「コレット?どこにいくんだい?」
こっそりと、外に出て彼を捜しに行こうかとドアに手を伸ばすが、しいなに見つかる。
コレットははあわてて「道具屋にいく」と誤魔化すが、「じゃぁあたいも一緒にいくよ」と一緒に行くはめにはった。
「コレットは道具屋に何買いに行くんだい?」
「え、えっと・・・」
道具を買いに来たわけではないので、道具屋に行くまでの道のりはとてもゆっくりと歩いた。
視線を泳がせ、青年を捜す。するとしいなが「どうしたんだい?」と顔をのぞいてくるのでコレットは首を横に振って「なんでもない」と笑う。
「そこのかわいいハニーたち〜♪」
道具屋の前で女の子たちが黄色い声を上げながら集まっている。
その中心にはコレットが探していたあの青年がこちらに手を振っていた。
「あんたねぇ・・・こんなところで何してんのさ!」
「おぉ?ヤキモチか?」
「だっ誰が・・・!」
しいなは手に力を込め、青年の頭に一発、拳をお見舞いする。
「あだぁ〜ッ」
「見境なく女に声をかけてるんじゃないよ!このアホ神子!!」
青年は殴られた頭を抱えながらその場にしゃがみ込む。
すると、周りにいた取り巻きの女の子たちが非難の声をあげる。
「ゼロス様っ大丈夫ですか?」
「ちょっと!ゼロス様になんてことをするのよ!この雌豚!」
しいなはいわれなれてるのか、女の子たちの気迫にも負けないが、コレットは萎縮し、しいなの後ろに隠れる。
「あだだ・・・なんか久しぶりにしいなの食らった気がする・・・・」
青年は殴られたところを押さえながら立ち上がり、
「しいなちゃんは照れ屋だからねぇ〜これも愛故のってやつでしょ?」
「何いってんだか!」
「でひゃひゃひゃ・・・・」
その日はしいなのおかげで青年を見つけられた。
青年はいつもと変わらないように見えたけど、ほんの少しだけ違って見えたのに気づけたのは多分二人だけ。
かくして、彼らは雪降る街フラノールへ向かう。
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連載じゃないけどちょっと長くなりそうです?
次で終わりかな?
これもお題を書こうとしてこんなんになりました。
ちなみに、お題は「鍵」でした(笑)
ゼロスとコレットは同じ立場なのに周りの扱い方や心の構え方とかが違うので
こんなにも変わってしまうのかと思いました。
二人は好きだけど痛いです。
2005*09*21