「カカシ、恋ってどんなものだと思うかい?」
「…今度は何を読んだんですか」
「ん、自来也先生の新作のプロットなんだけどね…それが恋をテーマにしているんだ」

夕刻、まだ里が平和だといえる時期。
四代目火影はこの里が大好きでよっぽどがないかぎりこの日課をなくさない―――毎日、陽が沈みかけたこの里を見渡す。金色の髪が夕日のせいでオレンジ色に染まり、白い羽織は里を吹き抜ける風でなびく。
俺はそんな先生を見るのが好きだった。

「…それで?」
「オレが思う恋っていうのはいわば衝動だと思うんだよね」
「はぁ…」
「突然好きになって突然嫌いになってしまう。百年の恋もいっぺんに冷めるって言うし。でも自来也先生はそれもひとつの恋だっていうんだ。だからカカシはどうかなって思って」
「…俺にはそういう経験がありませんのでよくわかりません」
「わからないなら一緒に考えようか」
「はぁあ?」
「恋ってどんなものなんだろうね?カカシ」

当時は「そんなことよりも里のことを考えたほうがいいです」なんて生意気に返したもんだ。先生も苦笑いしていた気がする。
だって貴方にはすでに愛する人がいて愛する子供も授かったのに。
それで今更恋について考えるなんてホント、よくわからない人だった




「――――……」

ゆっくりと瞼を開けて、あぁ懐かしい夢だななんて余韻に浸る。
目の前には金色の髪が月夜に照らされて所々キラキラと輝いている。
気が向いて、髪の毛を撫でればくすぐったいのかもぞもぞを動いて体を寄せてきた。でかくなった体で小動物みたいな動きをするもんだから可愛く思えてしまい笑いがこぼれる。

(恋ねぇ…そういえば結局どうなったんだっけ?)

夢の続きを思い出そうとしたが、もううまく思い出せない。
秋の空みたいに移ろい行くものだったり、雪の下でじっと耐え忍ぶものだったり、春一番みたいに吹き荒れたり、夏の日差しのようにまぶしかったり
結局はどれも納得しなかったはず。ならあのときの答えは?
そもそもあの人との思い出はよく分からないものが多くて、どちらかといえば振り回された印象を受ける。先生からしてみればきっと俺のほうが先生を振り回せていたのかもしれないけど、もう確かめようがない。
年齢を重ねていけばいくほどあの人が大人だったという事実がはっきりとするだけ。あの人のような大人になりたいと願ったが俺はそうなれたのだろうか?
体を寄せてきた大きな小動物みたいなやつの髪を撫でて思いにふける。
あの人によく似たこいつには散々振り回された。
意外性NO1だから俺の予想の斜め上からやってくるし、誰もが躓かないようなところで躓いて大事にするし。本と、どうして俺はコイツと一緒にいることを選んだろうな

「ん…カカシ先生?」
「ごめん起こしちゃった?」
「んー」

さすがに触りすぎたのか眠たそうに瞼を少しだけ開けてこちらを見る。こちらを確認したら安心したのか背中に腕を回して抱きついてきた。抱きつきながら頬を摺り寄せて本当に犬か猫みたいに喉を鳴らす。

「・・・ナルト、おかしなことを聞いてもいい?」
「んー?」
「ナルトにとって恋ってどんなものなの?」
「んー…?こい?」
「そ。恋」
「んー…先生のこと…かなぁ」
「何それ」
「だって先生のこと考えると嬉しくなって…先生に会えたらもっと嬉しくなって…そんで、先生が俺の隣にいてくれて…」
「それってサクラにもあてはまらないの?」

サクラにだってきっとサイにだって当てはまるでしょ?って聞くと「んー」と考えながら抱きしめる腕に力を入れてきつく抱き寄せてきた。

「ん。だって先生にしか勃たねぇもん」

不覚にも言葉につまった
え、何だって
聞き返そうにも言った本人はすでに夢の世界に旅立とうとしていて
幸せそうな笑みを浮かべながらゴロゴロのどをならしながらと顔を擦り付けてくる。

「先生がいい、先生じゃなきゃいやだ…」

言い終わるや否や寝息が聞こえてきた。そんなこいつを見て小さく息をこぼす

「・・・半分以上寝言だな…これは」

朝になってきちんと目を覚ましたときにさっきのことを聞いてみよう。きっと違うこと答えが返ってくるだろうけど、ようは今のがコイツの本心ってことだ。
我ながら情けないな、と小さく息を吐いて金髪の頭を抱える。コイツの予想外の行動にはだいぶ慣れてきたと思っていたんだがまだまだだった。

(俺じゃなきゃいやだ、か…まぁ言いたいことはわかるが)

まだ衝撃が収まらない。
ときめいた、とかサブイことは言わないけどちょっと驚いたのは事実だ。
驚いたにもかかわらず、そんなこの馬鹿が可愛いって思えてしまった。
あぁ、そうかこれが恋なのか
この衝動も衝撃も愛しさも
全部が全部恋なのか

(あぁ。そうだ…結局あのときの答えって)

俺は思い出せた過去の出来事に同意しながら眠りについていく。
少ずつ思い出す風景、夕焼けの空とオレンジ色の里、風でなびく羽織に夕日に染まった髪
振り返ってきて目が合うとやさしく微笑んでくれた。

「百年の恋って言うけれど、そんな恋ができたならすごいよね」

優しく頭を撫でてくれて、そのときの俺はただ子ども扱いするなって心の中で思っていたけど今なら素直に心地よいって受け取れる。
遠くから声が聞こえてそっちに目をやると赤い髪の女性が見える。
あれがこの人の愛した女性
先生のほうを盗み見ると子供みたいに無邪気な笑顔で彼女に手を振っていた。「もう帰るよー」と声をかけてからもう一度俺のほうをみて頭を撫でられる。

「やっぱり衝動だよね…恋って」

そういって微笑むと駆け足で彼女の元へと向かう
飛雷神の術で向かえばいいのにあの人は自分の足でかけていく…―――

―――…今ではその気持ちが分かります。自分の足でかけていくこと
それが先生のいう衝動で恋ってやつなんですよね
















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友人に貢いだカカシ様(ぇ
カカシの話を書きたいんだけどナルカカナル?みたいな
こういうのしかできないよー
つーか甘いの好きだね、あたし

2012*08*18








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