走ってる最中いろんなことを考えた
誕生日は誰にでもある大切な日で
たとえどんなことがあろうともその日は感謝する日なんだって教わったんだ
だからアイツにも感謝しなきゃいけないんだ






ピンク色の包みを受け取りサスケの家までたどり着いた
名門だって聞いてたからデカイ屋敷かと思ったら俺と似たようなアパートの一室で
ベルを鳴らすをためらっていた

「・・・」

嫌がるのは分かった
それでも感謝したい
嫌いじゃない奴だし、俺のライバルだし何より俺の大切なサクラちゃんの好きな人なんだし!

こじ付けまがいの理由をいくつも並べて緊張しながらベルを鳴らす
しばらくして鍵の開く音がしてドアが開いた

「・・・何の用だ」
「これ、サクラちゃんからのプレゼント」
「いらねぇっていったろ」
「ダメだ!受けとれってば!」
「しつけぇ」

扉を閉めようとしたので無我夢中で扉を捕まえ無理やり閉じようをするサスケを防いだ
でも、俺ってばサスケに比べれば腕力が足りなかったのか、すぐに押し負けて閉められてしまった

「あけろってば!サスケ!」
「帰れ」
「なんでだよ!受け取るだけじゃん!」
「帰れ!」

扉の向こうから怒鳴られ、しかもいつものみたいに叱る声じゃなく、どこか冷たく拒絶の声に聞こえた
そう聞こえたのはきっと自分もそうだったからなんだと思う

「サスケ、おまえ誕生日なんだろ?」
「だからなんだ。誕生日なんて」
「誕生日は感謝する日なんだってばよ」

両親もいない、里のみんなからは理由も分からず嫌われいつも一人だった
誕生日という概念もなかったときは毎日が死ぬほど嫌いで1日過ごすのだって苦痛だった
でも、3代目に教えてもらった
誕生日という大切な日を
誕生日は多くの人に感謝する日だと
最初はそんなの嫌だったけど、でもじいちゃんが教えてくれたんだ
1年間生きてこれた理由は誰かが助けてくれたからだって

考えたらそうなんだって納得できたんだ
イルカ先生がいて
カカシ先生がいて
サクラちゃんがいて
そして
サスケがいて

だから押しつげがましくてもいいんだって
1年間みんながいたから生きていけたんだって思えるから
そう思うだけですんげぇ幸せな気持ちになれたんだ

「1年間生きてこれたのはみんながいたからなんだって」
「・・・」
「俺も、昔は誕生日が大嫌いでなんで誕生日なんてあるんだろって。でも、みんなに感謝する日だって教えてもらったらなんか、すんげぇ嬉しくなって・・・誕生日は自分を祝うんじゃなくて、周りの人に感謝する日でもあるんだって」
「・・・」
「俺、おまえといっつも喧嘩ばっかしてっけど、でも・・その・・・あれだ。サスケにはお世話になってることはなってるし・・・おまえは嫌がると思うけど、それでも俺ってばおまえに感謝したいんだ」
「・・・」
「祝いたいっていうか・・・そのー・・・うーんと」

話をしているうちになんだか頭がこんがらがってきて何が言いたかったのかよくわかんなくなってきた
あーだこーだ唸っていたら扉が静かに開いた

「・・・サスケ?」
「いい迷惑だ。感謝なんてされる覚えはない」
「13年前、お前が生まれた。俺ってばそれだけサスケのかあちゃんととうちゃんに感謝したいんだってばよ」
「・・・」
「今年だって、カカシ先生やサクラちゃんと楽しい時間が過ごせたのはやっぱサスケも一緒にいたからだと思うしさ。やっぱ感謝はしたいんだってば」
「余計なお世話だ」
「だから、これ」
「・・・」
「サクラちゃんからの感謝の気持ちが詰まってるんだ。だから受け取れってばよ」

ピンク色の包みを差し出してサスケが受け取るのを待つ
しばらくしてためらいがちに手が伸ばされ静かに包みを受け取った

「・・・・ウスラトンカチが」
「うるせぇ!」

受け取ってくれたことが嬉しくて、自分が用意したわけじゃないのになんだか恥ずかしくなってつい、照れ隠しで叫んだけど、どうやらサスケも恥ずかしかったらしい
素直にありがとうって言えばいいのにさ

「サスケ、誕生日おめでとうだってばよ」
「・・・」

言いたいことを言い忘れずに、でもいったらいったらでますます恥ずかしくなったので急いで走って逃げ出した
どうか、サスケが誕生日を嫌いになりませんようにって神様にお願いしながら

次の日、もちろん任務があって3人とも顔を合わしたけど
いつもにましてぎこちなかったのは言うまでもなくて、その様子をみてカカシ先生は嬉しそうに目を細めて頭をなでてくれた





fin





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ハッピーバースディ!サスケ!
2009:07:22


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