キッカケは些細な事だったはずだった
いつもの帰り道一人川辺にいるあいつを見つけて
どっかで見たことあるような奴だったのと
遠くから見えた横顔が忘れられなくなっただけ

少し気になってシカマルあたりに聞いてみたら色々分かった

「うちはサスケ」
一人暮らし
成績優秀

シカマルは相変わらず面倒だといいながらも色々教えてくれた。
そしてシカマルは最後に「お前に似てるかも」とつぶやいた
気になるアイツと同じクラスで俺は少し浮かれていたのかもしれない
シカマルの言葉とアイツの態度
自己紹介なんてそんなのしてないから俺から話しかける事なんて出来なかった
だからあいつの居ないところで「サスケ打倒」と叫んだ

いつからかもう覚えてないけどアイツと視線がぶつかるようになった
背中に視線が集まるのはいつもの事だったけど、いつもと違う視線を背中に感じるようになって振り向くと、あいつと目が合う。
目が合うと向こうが勝手に視線を外してきてなんか負けた気分なった。


それがきっかけで



気づいたら俺もアイツを見ていたということに気がつく
目が合って逸らして
なんだかむずかゆくて
この気持ちがなんていうのかはよく分からないけど


でも

俺、きっと嫌いじゃない





「好きになってもいいですか?」








カカシ先生っていう厳しい先生の課題をクリアした第7班
サスケとサクラちゃんと俺。
ようやく忍者として活躍できることにワクワクしながら
サクラちゃんと同じ班になれたことを感謝しつつも

サスケと一緒に居られる事実になんともいえない気持ちに襲われて

考えても考えてもサスケへの気持ちが分からなくて
サクラちゃんに相談するわけも行かない俺は日々悩み続けた

今日も視線がぶつかって
お互いに視線を逸らして
そんな俺達を最近はサクラちゃんが見て呆れてくる

「ほんと仲悪いわよね」
「だって!こいつが…!」
「アンタもいい加減サスケくんに突っかかるのやめなさいよ。どうせ無駄なんだから」
「むっ、無駄なんかじゃないってばよ!」

サクラちゃんに言われたもんだから俺は何を勘違いしたのか
サスケの事を嫌いなんだと思い込むことにした。
心の底では嫌いじゃないかもしれない、なんて思っていたのに
このむずかゆい気持ちはぜんぜん消えてくれなかったけど。





第7班が結成されて数週間がたった。
相変わらず俺らは視線をぶつけては逸らす関係だった
少し前から「サスケなんて大嫌い」なんてオプションもつくようになる

12時集合の橋の上。
太陽が頭のてっぺんに昇って集合時間を教えてくれるのに
いつものように先生が来ない。
しかも今日に限ってサクラちゃんがまだ来ていないのでサスケとふたりっきりだった
特にこいつと話すことはないの黙って二人が来るのを待っていた

「・・・・」
「・・・」
「・・・・・・・・サクラちゃん遅いってばよ」
「・・・・」
「・・・カカシ先生はやっぱり来ないし」
「・・・」
「・・・・(こいつと…―――」


(こいつと2人っきり…)

頬に柔らかい風が当たる。
橋の周りの木々が揺れてざわめく
空を見上げれば青い空とまぶしい太陽
チチチチと取りの親子が悠々よ飛んでいる

こっそり視線の端でサスケをみるといつもと変わらない
橋に手すりに背中を預けて沈黙を守っている
黒い前髪が風でなびくとうっとしそうに髪の毛を耳にかける
その仕草が自分と同じ男に見えなくて
とても綺麗ですっかり見とれてしまっていた


「……んだよ」
「え、あ」
「……」
「な、何でもないってばよ!ただお前ってば女の子みたいだなって…」
「はぁ?」
「だ、からっ!なんでもねぇってば!」


女の子みたいに綺麗で見とれてたなんて口が裂けてもいえなくて
慌てて弁解をしてみたら興味が失せたのかいつもの「ウスラトンカチ」って言われた
意味はよくわからないけど俺のこと馬鹿にしているってのはわかるからいつも歯向かうんだけど
今日はどうも調子が出なくて小さく舌打ちをしてサスケから視線を外した
微妙に開いた二人の間
互いに視線を反対に向けてゆっくりと優しい風が二人の間を抜ける
視線の端でピンク色の髪が見えた

「サクラちゃん!遅いってば…よ?」
「…」

二人してサクラちゃんのほうに向き直るけどサクラちゃんは俺たちを無視して橋を渡りきってしまう。
何がなんだかわからなくて偶然と隣にいたあいっつに視線を送る
アイツもわけがわからない様子だったのか俺のほうを見て同時に首をかしげた

「おはようさん。サスケ、ナルト」

のらりくらりと背後のほうからようやくカカシ先生がやってきて「今日は青春という春を探していてな」なんてまたわけのわからないことを言って後ろ頭をかく。

「今日の任務はベビーシッターだよ。さ、子供たちが待ってるし。さっさと行くよ」
「え、でもサクラちゃんが・・・」
「サクラはちょっと別件で行くところがあるみたいだよ。大丈夫、地図は渡してあるから」
「ふーん・・・?」

カカシ先生を先頭に後ろからゆっくりとついていく。
サクラちゃんのことが気になるけど先生は大丈夫だって言うし、問題はないような気もするけど
まとまらない考えで頭をかしげているとふと視線を感じて視線の先を見るとまたあいつだった

「・・・・」
「・・・・んだってばよ」
「・・・・足引っ張るんじゃねぇぞ」
「それはこっちのセリフだってばっよ!それに!今日に限ってはぜってぇサスケのほうが足引っ張りそうじゃねぇか!」
「あ?」
「仏頂面のサスケくんには子供の面倒は無理なんじゃないんですかぁ?」
「・・・・」
「それに比べて俺ってばいっつもニコニコさわやかスマイル全快だからぜんぜん問題ないってばよ!」
「てめぇのどこがさわやかなんだよ。ただ暑苦しいだけだろ、ウスラトンカチ」
「事欠いて暑苦しいって!俺のどこが暑苦しいんだってばよ!」
「存在そのものだろ?ドベ」
「サスケェ!」
「はいはい、痴話喧嘩はその辺にしておいてね」
「「痴話喧嘩じゃねぇ!」」

口喧嘩を初めていよいよ取っ組み合い、ってところでカカシ先生に止められて
しかも二人そろって同じ言葉で遮って
そこでまた視線がぶつかって
いつもより距離が近くて顔が暑くなるのを感じて急いで下を向いて誤魔化した。
胸のあたりがもやもやするこの気持ち。
まだわからない。


サスケは俺のライバル










つづく







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ちょっとしたシリーズ?
次はサスケ奪還後だ!
2011*03*10




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