去年までは何でもない日で大好きなカップ麺買って部屋で一人で過ごしていた
今年はアカデミーを卒業できて、下忍にもなれた
第七班っていう仲間もできた
遅刻魔のカカシ先生にアイドルのサクラちゃん
そして俺のライバルのうちはサスケ


アカデミーのころからずっと気にはしていた
でも、全然相手にされなくてすんげぇムカついてだから、勝手に俺のライバルにしてやって
いつかあいつを越すんだってずっと夢見てた



たいせつな人の大切な日



「はいこれ」

今日の雑用と言う名のDランクの任務を終えて、4人で歩いていたらずっとサスケの機嫌を伺っていたサクラちゃんが小さな包みをサスケに差し出した。
ピンク色の包装紙で巾着結びになっている。赤いリボンがなんとも女の子らしくて素直に可愛いと思えた
差し出されたサスケはというと相変わらず無表情でまじまじとピンクの包みを見つめていた

「今日、誕生日だよね・・・だから私からのプレゼント」
「・・・俺は」
「甘くない!お菓子なんだけど、甘くないの!」
「・・・」

頬をうっすらと赤く染めて必死にサスケに反論するサクラちゃん。
そんな様子も可愛くて「恋する乙女」なんだなぁって思えたら俺もあれをサスケに受け取ってもらいたくなった

「サスケー!てめぇサクラちゃんの想いを無駄にする気か?!」
「だったらてめぇがもらえばいいだろ」
「俺じゃダメなんだってば!だって、それはサスケの誕生日を祝うためにサクラちゃんが・・・!」
「誰が祝えといった」

一瞬でサスケの空気がかわった
面倒くさそうにサクラちゃんを避けていたのに、何かの一言でサスケを怒らせたらしい
俺に向かってすんげぇ睨んできて思わず黙ってしまった。

「ご、ごめんなさい・・・!無理に押し付けようとして・・・・」

サクラちゃんもいつもの元気がなくなって今にも泣きそうで瞳を震わせていた
差し出されたピンク色の物体はすっかりサクラちゃんの胸の中に納まってしまう

俺は誕生日って大切な日だって教わった
両親のいない俺に三代目が教えてくれた
今年も1年、生き抜いてくれたことを祝うためだって教えてくれた大切な日
俺の誕生日は全然おめでたい日じゃないけど、それでも俺は俺の誕生日が好きだって胸張っていえる
なのに、サスケのやつはそれを否定しやがった
今年も1年生き抜けたお祝いなのにどうして?

「サスケェ!」

無性に腹が立ってサスケに飛び掛ろうとしたが、首根っこを後ろかカカシ先生につかまれ阻止される。
先生に持ち上げられ、叫んで暴れておろせと言うが、先生はびくともしない。

「サスケ、お疲れさん」
「・・・・」

いつもの腑抜けた挨拶をサスケにだけしてサスケは無言で一人、帰っていた
サスケの姿が見えなくなってサクラちゃんが肩を震わせて静かに泣き始めた

「あーぁ・・・・どうしてうまくいかないのかなぁ・・・」
「サクラちゃん・・・」

少しだけ泣いたあと、無理やり笑顔を作って「また明日」と帰っていったサクラちゃん
俺は何も出来なかった自分が悔しくて静かになった

「・・・しっかし、よく毎日飽きもせずに喧嘩できるねー」
「・・・今日はサスケの誕生日なんだってば」
「そうらしいね」

ようやく地に足が着きカカシ先生を見上げる
「ん?」と答えてくれるが何を話せばいいのか分からなくなって視線が自然と地に落ちる

「・・・俺ってば誕生日って大切な日だって教えてもらったんだ」
「・・・・そっか」
「だから今日はサスケの誕生日だって知ってたから今日は絶対喧嘩しないようにしようって思ってたけど・・・」
「喧嘩しちゃったねー」
「・・・サスケにとって誕生日って大切じゃないのかなぁ・・」

悔しくて目がかすむ
やっと出来た仲間だから大切な仲間だから
その仲間の大切な日は自分にとっても大切だと思っていたのに
悔しくて目が霞んでくる

「嫌なこと、思い出しちゃうからなんじゃない?」
「え?」
「サスケはお前とは違うから」
「・・・・」



一人、帰り道を歩く。
あの後、先生は仕事があるからと消えてしまった
日の沈みかけた道を一人でトボトボと歩いてかえる
最後にカカシ先生に言われたことを思い出しながら

『嫌なこと思い出しちゃうんじゃない?』

嫌なことって、多分家族のことだろうな。
でも家族のこと思い出すのが何で嫌なことなんだっけ?
だって、きっと家族たちはみんなでサスケのことお祝いするだろうし

『お前とは違うから』

そんなの言われなくたって分かってるってばよ
アイツのほうが何でも出来るし、モテモテだし、
家族だっていたし


あ、そっか

家族のこと思い出すのが嫌なんじゃないんだ
ツラくて悲しいんだ

だからサスケは誕生日だけじゃなくて、大切な日が嫌いなんだ


「・・・・」


でもさ、誕生日は一生もんだろ?
だったらサスケは一生ツラクて悲しい誕生日を迎えなきゃいけないのかなぁ
俺もそうだったけど、ただ無駄に年を数えることになるのかなぁ・・・


「・・・そんの絶対イヤだってばよ!」

そう答えが出たら俺はサスケの家まで全力疾走した
サスケの家の途中で、ピンク色の何かが見えて立ち止まると橋の真ん中でサクラちゃんが川を見つめていた
だから俺はサクラちゃんからさっきのピンクの包装紙を預かってまたサスケの家へと走り出した









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sサスケ誕生日のお話
この続きはお世話になっている方にささげるので続きはありません
まぁナルトのことだからなにやらかすかは想像つくでしょう!w
2009:07:17

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