仲直りの法則++




「もうリッドなんて知らない!」

幼い頃の僕らの喧嘩は本当に幼くて今になって思い出してみると痛々しく思う反面、成長したんだと自覚できる。
昔の僕は今より体力もなく、知識も不十分。
リッドとくらべていつも僕は下だった。
その日もよくわからないけど些細なことで揉め事になって言い返せなくなったんだと思う。
僕は家に帰って部屋に立てこもった。
母さんと父さんに呼ばれても中々出てこなかった。
僕は扉を背にしてずっと部屋に立てこもっていた。

* * * *

夕方になって睡魔が襲い、お腹も情けない音を立て始める。
僕は外の様子が気になったが、絶対に扉をあけることはしなかった。
扉に耳を当て音を聞く。隙間から流れ込んでくる匂いを気にしたりと、色々。
不意に扉がノックされた。きっと母さんが様子を見に来たのだろうと思い、立ち上がる。

「母さん?」
「…誰がお前の母さんだ」
「リッド…!?」

扉の向こうから不機嫌そうなリッドの声が聞こえた。
僕はまた扉を背にして座り込んだ。

「何の用だッ!」
「ファラにいわれたからきただけだ」
「…」

なんだよソレ
僕は無性に腹立だしくなり、

「リッドの馬鹿ッ!帰れよ!」
「…」

次第に悲しくなってきた。
自分でもどうして泣いているのかわからず声を抑えて泣き続ける。
涙を止めたくても止めることが出来ずにただ、涙を流す。

「馬鹿キール。何泣いてんだよ」
「な、泣いてなんかないッ!」
「嘘つきキール」
「嘘なんてついてないッ!」
「まぁた嘘ついた」
「ついてない!」

木の扉がギシっと小さな音を立てて軋んだ。
僕は不思議そうに扉を見つめる。

「立ってんの疲れたから座っただけだ」

リッドの声が先ほどより近くに感じられた。

「…んだよぉ…もう、帰れよ…」

しゃっくりが聞こえないように必死で喋った。
でもリッドの声は聞こえない。返ってこない。
それでも僕は喋り続けた。

「どうして黙るんだよ…」
「…」
「なぁ…」
「…」
「リッド…?」
「…」
「……いるんだろう…?」
「…」
「……ごめんなさい」

リッドの声は全然返ってこなかった。
扉を通していることはわかるのに声が聞こえない。
姿も見えない。不安で不安で、押しつぶされてしまうかと思った。

「俺も」

やっとリッドの声が聞こえた。
そして一言恥ずかしそうに

「俺もちょっと言いすぎた」

そういって木の扉をコンっと軽く叩いたのだった。










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こういうほのぼのリッキル大好きです
2011/03/28再up












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