「ふあぁ〜ぁ…」

ユリスを倒して思念の浄化も終え、それぞれの帰るべき場所にみんな戻っていった。
そして、俺も皆と別れ、姉貴のいるペトナジャンカへと戻ってきたところだ。

「・・・(ねみぃ)」

今は夜。
工場のやつらとは夕方頃馬鹿騒ぎをして、町全体で騒いだ。
多くの成人者はまだ酒場とかに残って酒の飲み比べとかしている。
そして、未成年者は保護者たちによって強制送還された。
俺も姉貴に強制送還された一人。

「(ヴェイグたち…元気にやってかなぁ…)」

窓の外を見ると満月だった。
綺麗に輝く金色の月。クレアさんの髪みたいだなぁとベットの上で一人で呑気なことを考える。

「・・・・らしくねぇな。俺…」

なんだか気が滅入っている感じだ。
いつもの俺はどこに消えた?

「ティトレイ、ちょっと工場のほうにいってくるね?」

ノックの音と同時に姉貴が入ってきた。
上着を着て、外に出かけるようだ。

「どうした?何かあったのか?」
「ううん。大丈夫。アナタはゆっくりと寝てないさい」
「けど…」
「コレはおねえちゃんからのお願い。ね?」
「・・・わかったよ…」
「ありがとう。それじゃ、お留守番よろしくね」

姉貴はウインクをして、静かに戸を閉めた。

「・・・(何があったんだろう?)」

戸が閉まったあとも俺はずっと戸を見つめていた。
きっと工場のやつらが酔いつぶれたとかなんとかだろう。
町の奴らは俺が帰ってきた途端、俺のことを悪ふざけで英雄扱いしてきやがった。
なんだが歯がゆいっていうか、くすぐったいって感じていうか。
とにかく複雑な気持ちになった。

「(そういや、初めてヴェイグたちと出会ったのはあの工場だったな…)」

ヴェイグたちと冒険の日々を思い出す。
つらい事、苦しいこと。
腹が立ったこと、面白かったこと。
多くの出来事が頭をよぎる。

「・・・」

そして、ヴェイグの恋人になれたことも。
アイツにはいつも振り回されて、大変だった。
最初はすっげぇとっつきにくい奴だと思った。
でもすぐにいい奴だって気づいた。
それに俺によく似た熱い奴だってことも。
年の近い友達なんて互いに多いほうではなかった。
俺らはいい親友になれた。


「(・・・ヤベ)」


今までの旅を振り返り、ヴェイグのことを思い出すと、余計な出来事も思い出してしまう。



『 ティトレイ 』

低い声が耳元で響き、背筋がゾクッとする。
そのあと、ヴェイグの手が俺の体に触れる。冷たい手は余計に俺の体を刺激する。

「・・・(ヴェイグ…)」

若いってヤダ。
ヒルダにいったら嫌味になるんだろうなって思いながら、俺はおずおずとズボンのベルトを緩めた。
そして、半分勃起し始めたソレに手を伸ばす。

「んぅ…っぁ…」

ヴェイグならこういやって触ってくれる。
そう考え、思い出しながら動きを早める。

「っ…」

なんとかすっきりしたものの、まだ満足できない。
ヴェイグに会いたくなる。ヴェイグに触れて欲しい。

「…はぁ…俺…何してんだろう」

汚れた手をティッシュでふき取る。
多少のものは自分で舐めてみる。
以前だったら絶対にやらない行為だが、ヴェイグの野郎が
たまに飲ませるもんだから今はそこまで嫌ではない。

「・・・(会いたい…?)」

違う


触れ合いたい



「俺…結構重症だな。」

ごみをゴミ箱に捨て、外を見る。
やっぱり月は満月で、綺麗に輝く。


今度、ヴェイグたちに連絡してみようと思った。



fin


_______________________________
あとがき
「おいしくないピーチパイ」の前の話ですね。ハイ。
もうちょっと濃度のあるものにしたかったですけどね。
ヒトリHって可愛いよねv
特にティトレイのフォルスだとさ。
ヴェイグがそばにいるときはそうでもないくせに
離れると一気に恋しくなるタイプですね。うちのティトレイくんは。
2005*05*05












inserted by FC2 system