「ん…あれ?」
目が覚めると見慣れない天井。
ここはどこだと体を起こすティトレイ。
上半身を起こし、あたりを見回すが誰もいない。ドアの向こうからはかすかに人の声。
ティトレイは思い体を動かして、声のするほうへと向かった。
悪酔い+++
廊下をゆっくりと進むティトレイ。
重い頭を働かせ、自分がどうしてベットに寝ていたのかを思い出す。
その日はたまたまバイラスの数が非常に多かった。
何度も何度も倒してきた。
休みもなく連勝してきたが、ふいをつかれ確かバイラスに襲われたのは覚えている。
その後、マオやヴェイグにフォローしてもらい、バイラスは倒したが…―――
ここで意識が途絶えた。
つまり、ティトレイはバイラスに不覚を取り、ダメージを受け倒れてしまったということだろう。
「(やべ…またマオにからかわれる…)」
以前も似たようなことがあり、その時は気絶はしなかったものの、その場に座りこんでしばらく歩けなくなった。
その時、ティトレイはマオに散々からかわれてしまっていた。
「(俺…体力ねぇなぁ…)」
重いため息を零し、ティトレイは声のする部屋の前まできた。
なにやら全員いるらしい。マオの高い声やアニーの嬉しそうな声が聞こえる。
中で何が起こっているのやら。
ティトレイは控えめにノックをした後、扉を開けた。
「おぉーい、お前らないして―――!?」
扉を開けた途端、部屋からは異臭が漂ってきた。
ティトレイは思わず鼻を手で抑えて一歩下がる。
「お、お前ら…っ」
ティトレイはこの匂いを知っている。
料理をする時に多少使用するアレだ。未成年は呑んじゃいけないアレだ。
ようは酒だ。
「あー…ティトレイだぁーっ」
すっかり出来上がってしまったマオはティトレイに抱きつく。
「何お子様が酒呑んでんだよ!?」
「お子様じゃないよぉ〜?マオだよぉ〜」
マオからは酒の匂いがプンプンとした。
ありえない、とティトレイはマオを引き離す。
「ティトレイさんもどうですかぁー?」
アニーは片手にもうほとんど入っていない酒ビンを持ち上げてティトレイに微笑む。
とても上機嫌だ。
「アニー!お前医者だろう?!何してんだよ!こんなところで…っ」
「あらいいじゃない」
アニーのとなりにいたヒルダが口をはさむ。
ヒルダはアニーやマオに比べてそこまで酔ってはいな様だが、ほんのり頬が赤く、目が閉じ様としている。
「アンタも来なさいよ」
「そうだよ!ティトレイっ!」
「うわっ!?」
マオに腕を引っ張られ、無理やり部屋の中に入れらた。
そして、ヴェイグの隣に座らせられた。
「はい、ティトレイさん」
「未成年に酒を進めるなって!ヴェイグもなんか言ってやれよ!」
「……」
ヴェイグはコップを手に持ったまま俯いており反応が無い。
「ヴェイグ?」
「…」
ティトレイが名前を呼ぶとヴェイグの肩がビクっと反応を示した。
「おい、まさか…お前も酔ってんのか?」
「…」
「ヴェイグ…?」
「ん…」
「・・・・お前酔ってるだろう?」
「・・・・?」
「(分かってないなぁ…コイツ)」
渋々と諦め、抱きついてくるマオを引き離す。
「ヒルダ、ユージ−ンは?」
「さぁ?知らないわ。」
「ユージーンはねぇ…宿屋の女将さんのところに行ったよ?」
マオはやたらとティトレイに抱きつこうとし、上機嫌。
そのうち変な歌も歌いだす。そして、アニーもマオと一緒に合唱する。
「あ゛ー!!もういい加減にしろよ!ほらっヴェイグ!部屋に戻るぞ!」
「……?」
ティトレイは酔っ払いのヴェイグを引っ張り、酒臭い部屋を出て行った。
「あとでユージーン呼ぶからな!」
ティトレイの声は廊下に響きわたり、酒臭い部屋からはまたマオの甲高い声やアニーの嬉しそうな声が聞こえ始めた。
next?
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次裏です。(えぇー)
お酒ネタ、ずっと書きたかったんですよ。
なんか最近、変態度増した?いやいや。んなことないもんっ!!!多分